歯科予防の実践
自分の歯を残すために
「8020運動」をご存知ですか? これは、「80歳になっても自分の歯を20本保とう」という運動です。
人の歯は全部で28本(親知らずを除き)あります。 その内、少なくとも20本以上歯が残っていれば、ほとんどの食べ物を噛んで食べることができます。そこで、高齢になっても自分の歯が残せるように、歯を大切にしようという 趣旨です。
歯科治療には、患者様のむし歯や歯周病などの疾患の治療だけでなく、その疾患の予防も含まれます。歯科に限らず、一度病にかかると元の状態に回復するために大きな労力や時間、コストが掛かる場合があります。それらを想定し、悪化に対して備えることが予防です。
予防医学の3段階
日頃からの定期的なメインテナンスによって、むし歯も歯周病も予防する事が可能です。
予防こそが、最も歯に良い健康法と考え、当院では予防歯科に積極的に取り組んでいます。
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01
疾病の予防-生活習慣の改善やブラッシング指導
むし歯や歯周病などの疾病の発生を未然に防ぐこと。
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02
重症化の防止-定期健診
重症化すると治療が難しく、長期化する、または大きなコストのかかる疾患を早期に発見・処置すること。
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03
疾病の再発防止-オクルーザル・リハビリテーション(咬み合せの再構成)
重症化した疾患から復帰するための治療。
予防歯科の目的
悪化した歯や歯ぐきを適切に処置する治療は、症状の進行具合によっては歯を削る必要がある場合があります。例え少量でも天然の歯を削ることは、本来の組織にダメージを残すことになります。
その原因である、むし歯、歯周病を未然に防ぐことで、結果的に歯を削る必要もなく、本来の歯を長持ちさせ残すことが予防歯科の目的です。
プラークコントロール
悪化した歯や歯ぐきを適切に処置する治療は、症状の進行具合によっては歯を削る必要がある場合があります。例え少量でも天然の歯を削ることは、本来の組織にダメージを残すことになります。
プラークコントロールをご存知でしょうか? プラークは歯垢とも言います。 歯垢は、食事の際に歯に残った食べかすなどではなく、歯の表面に定着した、細菌などの塊のことです。
プラークコントロールとは、このプラーク(歯垢)を減らす、つまりプラークの原因菌をコントロールするという意味を持っています。 歯に付いた歯垢は口を水でゆすぐだけでは落ちません。 しっかりと正しいブラッシングなどで機械的に擦り落とす必要があります。
また、プラークが付着したまま、放置するとだ液中のカルシウムが沈着し、石灰化して歯石となってしまいます。 歯石が形成されてしまうと、ブラッシングでは取り除くことができません。 さらに、歯の表面がざらつき、ザラザラの溝にプラークがたまりやすくなり、更に口内環境が悪化する恐れがあります。
こうした事態の予防・改善を目的とするのがプラークコントロールです。 毎日の生活の中でご自身で行うセルフケアと、セルフケアでカバーできない部分を歯科医院でケアするプロフェッショナルケアの2通りの方法で口内環境を健康に保つことができます。
その原因である、むし歯、歯周病を未然に防ぐことで、結果的に歯を削る必要もなく、本来の歯を長持ちさせ残すことが予防歯科の目的です。
プラークコントロールの方法には、セルフケアとプロフェッショナルケアがあります。
いろいろなセルフケアの方法
ブラッシング
いろいろあるプラークコントロールの中でも、最も効果が高いのが歯ブラシによるブラッシングです。
歯に付着したプラークもこれで擦り落とすことが出来ます。ブラッシングをより効果的にするために「歯磨き粉」「デンタルフロス」「歯間ブラシ」「染出し剤」などのグッズがあります。
規則正しい食生活
毎日の食事回数が不規則だったり、間食をしたりしていませんか? 食べ物を口にすると、歯の表面がむし歯菌によって溶けやすく、プラークが付着しやすい状態に向かいます。
規則正しい食生活もプラークコントロールの1つです。
繊維質の食品を良く咬んで食べること
ゴボウやサツマイモ、みかんなどの繊維質の野菜や果物を良く咬んで食べることで歯の表面のプラークが落とされて減少するため、これもプラークコントロールの1つになります。
定期的に受けるプロフェッショナルケア
PMTC
歯科衛生士による機械を用いた、歯の清掃です。
歯に付着したむし歯菌や歯周病の原因菌は、歯の表面で増殖してバイオフィルムと呼ばれる膜を形成します。このバイオフィルムが歯を覆い、歯周病治療のための抗生物質や殺菌剤が歯周病菌まで届きません。
バイオフィルムの除去はブラッシングでは困難です。 そこで、歯石除去などの後に行うPMTCによって、バイオフィルムを除去します。
当院では、定期健診の際にPMTCをおすすめしています。
TBI(歯磨き指導)
むし歯と歯周病は原因菌による細菌感染によって引き起こされます。
その有効な予防対策である毎日のブラッシング(歯磨き)を正しく効果的に行っていただくためのブラッシング指導です。
また、お口に合う清掃グッズや歯磨き剤などもご紹介します。
むし歯の治療
むし歯によって歯が溶けだすと、その部分が段差となり、更にプラークが溜まりやすくなります。
そこで、むし歯になった部分を治療して、段差をなくすこともプラークコントロールの1つになります。
フッ素の塗布
フッ素は歯に塗布することで、歯に染み込みます。
フッ素のむし歯予防の効果は、酸によって溶け始めた歯(初期のむし歯)を修復する再石灰化を促進し、むし歯菌の働きを抑えることです。
フッ素の塗布は1度だけでなく、定期的に塗布することが効果的です。
成人で半年に1度、お子様は3か月に1度程度の塗布がおすすめです。